先日からネット上では、「オタクって本当にライト化しているのか?」という議論が盛んに行われている。
だが、そもそも「オタクとは何か」という定義自体も非常に曖昧なので、この手の議論は不毛な世代間論争になりやすい。少し時代を遡って、現在の状況と冷静に比べてみよう。
◆ 80年代に存在していた?「エリートオタク」
「おたく」(当時はひらがなで表記)という言葉が初めて登場したのは、1980年代のロリコン漫画雑誌らしい。当時の空気を知っていて今も活躍しているオタク評論家に、後に『エヴァンゲリオン』や『グレンラガン』を生み出したアニメ制作会社、ガイナックスを設立した岡田斗司夫さんがいる。
岡田さんは「おたく」は「子供向けアニメや特撮など、くだらないものに独自の楽しみ方を発見し、仲間同士で作品ごとの微妙な差異を語り合う」人々だとしている。いわば「違いのわかる」文化エリートだというわけだ。ちなみに、80年代の「おたく」の若者の生態は、島本和彦さんの半自伝的漫画『アオイホノオ』で体験することも出来る(後にガイナックス設立に関わるメンバーも登場する)。
◆ ニコニコ動画の部門別ランキングにみる。趣味の「超」細分化
90年代以降のオタク文化は、インターネット技術の発展なしには語れないだろう。特にオタク史的分岐点の一つとなったネットメディアに、コメント投稿式動画共有サイト、ニコニコ動画がある。
ニコニコ動画では毎日、前日のマイリスト追加(お気に入りへの登録)件数増加数を集計したランキングが集計されている。
かつてはあらゆる動画の中から1~100位をずらっと並べる方式を採っていたが、後に「アニメ」「政治」「御三家(東方、アイドルマスター、ボーカロイド)」など、各ジャンルごとにランキングを集計する方式となった。
ランキングがジャンルごとに分別されていると、「政治に興味があるユーザー」「ボーカロイドに興味があるユーザー」というように、「棲み分け」が起こりやすくなってしまう。80年代的な「教養あるオタク」は消滅し、より細分化されたオタクが台頭してくるわけだ。それがいいことか悪いことかは一概に判断することは出来ない。
(小山内)
※画像は参考リンクからのスクリーンショットです。
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(参考リンク)
今日もやられやく オタクって本当にライト化してるのか?
小山内 聡(おさない そう)
漫画とアニメとゲームが好きで軍事オタクの文系大学生。趣味はノンフィクションを読むこと。はてなダイアリー『日の丸海賊団』で書評を書いています。
http://d.hatena.ne.jp/kurohige-ossadot/
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